裁断機
- Mr.B
- 2025年4月9日
- 読了時間: 2分

俺がビクトリーに入社して初めて配属されたのが裁断。
まずはお客さんの選んだ生地を探し、型紙を乗せけがいていく。
けがくとは線を引くこと。
その後、ずれないように重りを置いてハサミで切る。
しかしそのハサミが思うように使いこなせない。
線の内側を切ってしまったり、外側を切ってしまったり、ギザギザになったり。
ハサミの使い方を習得するだけでも数ヶ月かかった。
たまに大量分と言って、既成サイズの大口注文が入る。
そんな大口の注文を手で切っていてはいつまで経っても終わらない。
そんな時は裁断機を使う。
この裁断機が難しい。
線通りに進んでくれない。
勝手に裁断機がどんどん進んで行く。
焦って線に戻そうとするとギザギザになってしまう。
俺は先輩の裁断機さばきを観察していた。
裁断の主任が会社を辞める事になり、自ずと俺が裁断の責任者になった。
その頃から裁断機を使うようになった。
俺の前の先輩が裁断機で切ると、上がLサイズだったものが一番下がSサイズになっているとハリのおばさんがよく笑っていた!
それぐらい裁断機は難しい。
上と下でズレやすいのだ。
俺は大量分がなくても、数着かまとまると裁断機を使っていた。
数着なら失敗したとしても被害が少ない。
それに使わなければ上達しない。
毎日一度は裁断機を使っていたかもしれない。
気がつくと裁断機の使い方が会社一上手くなっていた。
上と下もピッタリとサイズがあい、急なカーブもギザギザにならずスムーズに切れた。
もう裁断機が手の一部になったようで、裁断機は思うように動かせた。


今じゃ考えられないかもしれないが、朝の9時に始まり夜中まで月〜土曜まで働いていた。
みんなが考える夜中って何時ですか?
当時の会社も無くなってしまったので言うが、深夜12時が定時と呼ばれていてAM3時頃までを残業と呼んでいた。
信じられますか?
こんな過酷な環境だったのに辞めようと一度も思った事がない。
とてもやりがいのあった仕事。
だから今がある。
俺と同じタイミングで20名近いアルバイトが入社。
残ったのは俺一人。
今思えば天職だったのかも知れない。
でなければとっくに辞めていた。



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